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そばかすのlamuのレビュー・感想・評価

そばかす(2022年製作の映画)
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チェロをあきらめて、実家に帰って、お母さんは結婚しろってうるさくて・・・、三浦透子演じるかすみはよっぽどダウナーな諦め系女性なのかと思いきや、ぜんぜんそんなことなくて驚く。次々と出てくる「友だち」との付き合いにも、真摯で誠実でがんばりやさんな人。それで、私、Aセク/Aロマの人ってあんまり人付き合い興味ないみたいな偏見を持ってたんだなと気づく。お見合いで知り合った「友だち」に思わせぶりだったらごめんと謝ったり、私たちうまくやれないかなと申し出たりする姿にほんとせつなくなった。

だからこそ、書き換えたあとの『シンデレラ』にはぜんぜんかすみが投影されてないと思う。あれこそステレオタイプのAセク/Aロマなんじゃないのか。かすみは招待状に喜ぶ人を見下したりしない、誘われて仕方なく踊ってやったりしない。相手を思いやるあまりに自分を押し込めて、苦しんできた人なのに。まほちゃん(あっちゃん)とのすごく良いシーンが続いたあとだったのでなおさら、なんだかなあと思ってしまった。議員のコメントも妙に粗いし。

しかし全体通してかすみとまほちゃんのシーンが本当によかった。三浦透子と前田敦子版のあのこは貴族って感じがする。あっちゃんほんとにすごいよ。お父さんとのシーンもよかった。「抗うつ剤より縄跳びのほうが効くらしいんだ」ってセリフに涙が出てきてしまった。

自分の考えをしっかり話せるまほちゃんが好きだと言ったかすみが、声を荒げていうのが「まほちゃんは本当に大切な私の友だち」という言葉なのもよかった。

素敵な映画だったけど、シンデレラまわりで「?」になったため、当事者の人の感想を読んでみたいとも思った。この映画をきっかけに、私もいろんなことを学んでいくと思う。そういう意味では、いまの日本でもっともっと観られてほしい映画です。
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