フェアにアンフェア

ウーマン・キング 無敵の女戦士たちのフェアにアンフェアのレビュー・感想・評価

1.0
私の知る限り世界史上、もっとも可愛い国旗を掲げるダホメ王国。ゾウの目つきの悪さがたまらない。

アメリカの価値観で描かれるアフリカ。この時点で、アフリカの人がどう思うのかが気になって嫌な気分で見ることになる。

例えばパーム油は商品作物として有効だろう。だけどプランテーションと変わらないんじゃないか飢饉とか起きない?とか。アフリカ系黒人と言っても、アフリカは各地域で顔がだいぶ違うみたいだけど、地域と民族は合ってるのか。とか。衣装がやたらと綺麗だけど文化を尊重してるのか、とか。

実際にはダホメ王国なんかめちゃくちゃ積極的に奴隷を使っていたし、売っていたわけで、それ自体を現在の倫理観から否定はしないけど、じゃあその国の精鋭たるアゴジェだってさあ、普通にやってるだろ。ダホメに略奪された歴史を持つ部族だって残ってるだろし。なんなら滅亡した部族も少なくないと考えるのが自然なのに。

他部族襲って奴隷にして売ってその金で武器買って、その武器で他部族襲ってた、どんだけ悲劇的でも無かったことにするのは違うだろ。学ぶべき反省点を埋めてしまってはいけない。

アフリカで作られた作品ならともかくこれを他国が作り歴史と呼ぶのは、文化侵略だと思う。

映画のクオリティが低い訳ではなく、こうした理由から評価は著しく悪い。