ゴート

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4.4
人の心を慮らず、ただ自分の承認欲求を満たすために生きる遥風(はるか)。普通なら、物語を引っ掻き回すだけの脇役であるキャラクターを、本作の主人公にしたことが素晴らしい。

彼女の人間性には共感できないが、彼女が感じる「戸惑い」は理解できる。

物語は安易に彼女を、懐柔しない。彼女は最後まで、自分の抱える問題を克服できないでいる。でも、それでいい。

佐近監督が、「ラストシーンでは、いろいろ迷った挙句、彼女を突き放すことにした」と言っていた。なるほどと思った。そうだ。それこそが、彼女を主人公にした物語に対する「誠実さ」なのだ。

今の時代に、この作品に出会えてよかった。
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