れん

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのれんのレビュー・感想・評価

5.0
端正で丁寧、上品で静かな作劇に宿る凄まじい力強さ。映画プロデューサーであったハーヴェイ・ワインスタインによるセクハラ、性的暴行事件を告発したNYタイムズ紙が報じた記事は瞬く間に#MeToo運動を活発化させた実話。ミーガン・トゥーイー、ジョディ・カンターの信念と実直さ、チームワークを発揮しながら真実へと突き進む勇敢な姿に胸を打たれる。仕事熱心に描かれるだけでなく家庭を持つという側面を描くことでより身近に感じられる。被害に遭った女性たちの無惨にも奪われてしまった悲しみ怒りの声、そこから飛び出てくるおぞましく恐ろしい体験の数々に心底震える。キャリー・マリガン、ゾーイ・カザンの鋭く澄んだ瞳、緊張感が走りながらも微笑ましい関係性をのぞかせる素晴らしい演技。身の危険を冒しながらも人々が連帯して真実を伝えようとする困難さと僅かながらでも社会を良い方向へと変えていける可能性を提示してくれる。傑作。
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