実話だけに、劇的な展開はないが、ひとつひとつ丁寧に取材を積み上げていくのが、逆に心に迫る。
常にフェアに取材しようとする姿勢にも、
本当のマスメディアの姿を見せつけられる。
今のタイミングで見ると、ジャニーズ問題とシンクロする。
最近だと、山下達郎の発言が話題だ。ジャニーズに忖度していると思う人は、自分の曲は聞かなくてもいいと言ったらしいが、問題はそこではないだろう。
これだけ被害者が声を上げている中で、業界に生きるものとして、なぜ、二度とそんなことが起きないようにしようと言えないのか？
山下達郎だけではなく、業界全体でも、そんな動きは、全くないように見える。
結局、一過性の盛り上がりに過ぎず、忘れた頃に、また同じ問題が出てくるだろう。ジャニー喜多川はどこにでもいるのだ。それを単に人情で片付けようと言う想像力のなさ。そして無関心さ。
結局、日本の芸能界、マスコミには、自浄作用はないのだ。
もうひとつ。
この問題が話題になる時、タレントに罪はないという意見をよく見る。
本当にそうなのか？
実際に性犯罪が行われていたことは知らなかったとしても、文春が報じて以来、自分の事務所にそう言う疑惑があったことは、所属タレントは知っていたはず。
被害者がいたかもしれないこの問題を、全員がスルーしてきたのではないのか？
誰ひとり声を上げなかったのではないか？
犯罪を見て見ぬふりをする人間は、無罪なのか？
この期に及んで、全員が他人事のような顔でテレビに出続けているのは、醜悪の極みだ。後ろめたさはないのだろうか。
