ヒラツカ

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらないのヒラツカのレビュー・感想・評価

3.8
てらいのない至極順当なループものだった。このジャンルは、企画した時点で、高尚な芸術作品としての評価や、映画界の金字塔になっていくことは、どこか諦めないといけなさそうだけど、でもけっきょくのところ、作っちゃえば、間違いなく面白くなっちゃうのだ。ループものは、過去にも愛すべき作品が多くて、恋愛タイムループや列車タイムループ、戦争タイムループから、果てはギャルタイムループまで、古今東西でかなり幅広く作られてきたし、その全てにおいて、純然たるエンタメの要素がありありと感じられた。その点、本作は「社畜タイムループ」ということで、この時間の繰り返しを、凡庸なサラリーマンの閉塞的な一週間になぞらえることにした。会議や資料作成に追われているうちに、「あれ?同じことしてないか?」という感覚になっちゃうのって、少なくともふっつうの日系企業でのうのうと働く僕には、心から共感できる。
そんなジャンル映画なので「まあ平均点取れればいいけどな」というノリで観始めたんだけど、なんと、終わる頃には、すっかり大号泣だった。僕は、昨年は『ハケンアニメ!』に大泣きさせられたし、そういえば『映像研には手を出すな!』の実写版でも泣いていた。どうやら、クリエイター・仲間・漫画、みたいな条件が重なると、涙腺が緩むみたい。いちばん感動したのは、マキタスポーツ演じる部長の、引き出しに仕舞いこんだ夢がクリエイティブに展延していたということと、飄々と構えているだけの昼間には見せない、こっそりと部下のケツを持って平謝りをする姿でした。
まだ売れていない、個性的な役者たちが好演。主役の円井わんの素朴な親しみやすさはもちろんのこと、映画オタクの部下・三河悠冴には、なんだかポール・ダノみたいな独特の気持ち悪さがあって良かったですね。