レク

ザ・クロッシングのレクのレビュー・感想・評価

ザ・クロッシング(2021年製作の映画)
4.2
ユダヤ人迫害から逃れるためにオデッサを追われたフローランス・ミアイユ監督の祖母と母親のために制作した本作。
未来を生きるために故郷を捨てざるを得なかった人々へ贈る弔いなのだろう。
創作物≒物語 が人の心を突き動かすこと。
フィクションがリアルに影響を与える。

重たいテーマをアニメーションとすることで、更には劇中の創作物(本作でいうイラスト集)を回顧することで物語っていく2重のフィクション性がリアルの生々しさを緩和すると同時に、語り継がれるべき過去をリアルに描き出し、後世に残していく。
それは劇中のように誰かへの語り部であること、そしてその語りから回顧する物語の構造として、普遍性を帯びてこの映画を観る我々観客へと向けられている。

フィクションの力を信じている監督が作り出す作品にはただリアルを映した映像よりもパワーを感じるんだ。
レク

レク