まっつん

アテナのまっつんのレビュー・感想・評価

アテナ(2022年製作の映画)
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折しも、イタリアで極右政党が政権を奪取したその日に鑑賞してしまい、作品のテーマ、そして描かれる顛末と現実との共時性があまりにも強すぎて思いのほか喰らってしまった。政治的な見解、人種や貧富の差からなる格差、さまざまなイシューに塗れ、それらが原因となってもたらされる分断の世を生きる我々は、すなわちシビル・ウォーと隣合わせ、どころかその只中を寄るべなく漂っているのかもしれない。言葉では足りず、暴力として発露した何某かは、行きどころがないかのごとくのたうちまわり、最後にはただ無情のみを置いて過ぎ去っていってしまう。きわめて暗澹たる気持ちにさせられるが、見なければ良かった、とは決して思えない、ただならぬ力を持った作品であった。傑作。
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