Asino

ディヴォーション:マイ・ベスト・ウィングマンのAsinoのレビュー・感想・評価

3.8
朝鮮戦争当時、まだ珍しかった海軍の黒人戦闘機パイロットが主人公。
彼が根強く残る差別に耐えながらそのアビエイターになったことが、背景として徐々に見えてくる。
白人の何倍も努力しないと実力を認められないし、空母のスタッフの指示すら信じられない。
いきなり今まで乗ってたのと違う機体での訓練そして実戦を命じられ、戸惑い、恐怖と不安を口にする。
格好いいばかりの話ではなく、そういう現実を正面から描いた話だった。

もう一人の同僚白人パイロットが、単純に「仲間」として「平等に」接していた(その時点でもうだいぶ”いいやつ”に見えるのだが)ところから、より踏み込んで「僚機」となっていく関係性の変化を、かなり丁寧に描いていく。(邦題は「マイ・ベスト・ウイングマン」という言葉が付け足されているけど、まあグレン・パウエル演じる彼がすごくヒロイックに見えるのも事実だし、彼目線で全体を見てしまいがちかもな)

とはいえまあ正直ちょっと長い。(1時間40分って表示されるけど、実際は2時間20分以上ある)

前半がかなりスローペースなので、これは一体どこへ行くんだろう?と思っていたんだけど、後半朝鮮戦争が始まると「これどうやって撮ったの?」というのがすごかった。
合成とかしてないわけないんだけど(TGMでF18は実は主操縦席にパイロットが乗ってました、とかあったけど、これは単座機の話だし)、大変うまく合成そして編集してあると思う。実はものすごくお金掛かってそう。
とはいえTGMを見過ぎているので、プロペラ機がすごく遅く見える(それもどうなの)(ミグが出てくるけど、この時代のプロペラ機と比べると「次世代機」感がすごい)

史実で、ご本人や家族の写真とかまで最後出てくる感じなので、「海軍公認」感は正直否めなかったけれども、ちょっとどうやって撮ったのかの記事探しに行こうとは思った。
あとまあグレパがお目当てだったわけですが、その点では100点でした。
Asino

Asino