『パリタクシー』2023/04/09
無愛想で不機嫌なタクシー運転手のシャルルが、92歳のマダム、マドレーヌを老人ホームに送り届けるストーリー。
オーソドックスなロードムービーと人間ドラマであり、パリの人や街の優美さ、品の良さが印象的だった。
また、権利や自由は自分たちで勝ち取るという気概も描かれていて、フランス映画らしい良作だった。
パリの街は美しさも見せる反面、現代的な喧騒や無機質な側面も描かれていて、
マダムの回想や二人の交流の豊かさが際立っていたように思う。
二人で橋の上でタバコをふかしたり、おしゃれなレストランで食事をしたり、腕を組んで歩くシーンなどなど…小粋な会話と奔放のようでエレガントな二人の振る舞いが終始素敵だった。
鬱々とした日々の繰り返しの中で、たった半日の素晴らしい出会いが、人生を豊かにさせてくれる。
ずっと浮かない表情だったシャルルが、彼女の過去に心を動かされていく中で、徐々に笑顔をみせ心を開いていく描写も見事だった。
人生の終わりに幸せだったと思えるために、今どう生きるかを見つめ直させてくれる作品だった。
