あおみどろ

インスペクション ここで生きるのあおみどろのレビュー・感想・評価

3.0
教官にシゴき倒され、ゲイであることを理由に同僚からもイジめ抜かれ、それでも尚「軍服姿で死ぬ」という儚き願いを胸に奔走する主人公フレンチ、ひいては監督の実体験をベースにした物語。言葉にし難い軍隊特有の理不尽の連続、その末に母から拒絶されたフレンチを庇うという胸アツ展開………なのかどうかは今の時代的に定かでは無いが、少なくともフレンチに酷い扱いをしていた彼らがようやくマイノリティである彼を受け入れてくれたことにホッと胸を撫で下ろす私であります。
私は異性愛者なのでこう形容して良いものなのか分からないが、これこそゲイの人における「エロい」なんだろうなーとそういうシーンを見て実感。シャワー室で惚れた教官に歩み寄るフレンチの姿に女性的なシルエットを重ねてしまったとここで自白しておく。これが………これが男性的なエロスってやつなのか!?と先程までボリボリ食っていたポップコーンを食べる手を止め自問し続けていた。
母親もまた嫌〜な役であるのと同時に今の世の中におけるバイ・セクシャルの普遍的な捉え方をよーく体現してらっしゃるなーと。目の前にいるのは命よりも愛すべき息子なのに、たった一つ「ゲイだから」という理由でどうしても抱きしめることができない。この煩わしさというか中途半端さというか白黒つけられない感じというか。今の時代バイ・セクシャルは十分マジョリティになっているけれど、こういう人も世に出てきてないだけで沢山いるハズ。
というわけで暇潰しに観た映画にしては中々パンチが強かった。だがしかし後悔はしてない。まだまだフレンチの戦いは続くのである!
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