ハナガサイタヨ

俺を早く死刑にしろ!のハナガサイタヨのネタバレレビュー・内容・結末

俺を早く死刑にしろ!(2022年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

22年 154本

主人公佐久間側に感情移入していた自分としては、ラスト30分は残酷すぎた、、。
胸糞とかそういう表面的な演出ではなく、純粋に、1つの物語でここまで、心が傷ついたことがあっただろうか。そういう意味で、ある種最高の映画体験だった。

佐久間が抱えるトラウマと、それを抱え切れず、絶対にやってはいけないやり方で、爆発させてしまったという事実。

佐久間ほど、大きいことは勿論してないにしても、トラウマやコンプレックスを拗らせて、他者を傷つけてしまうというのは、
自分のような、プライドが高いのに自己肯定感が低い根暗陰キャにとっては、日常茶飯事なわけで、
恐ろしい犯罪者であっても、感情移入は不可避なのである。

だからどうしても、
ダメな自分を受容してくれて、『私が産めばよかった』とまで言ってくれる、教誨師のサツキさんは、自分が求める、完璧な女性像、文字通りのファムファタルなのである。
結果的には、文字通り『運命の人』の意のファムファタルではなく、物語でよく使われる『魔性の女』の意のファムファタルになってしまったわけであるが、、、、。(泣)

というわけで、教誨師さんに、ガチ恋してるマインドで観てた自分としては、
彼女の気持ちを自分の復讐達成のために利用して、最後には彼女に蔑むような視線を当てる、あの被害者姉妹の父親は憎たらしくてしょうがないのである、、、!!(勿論冷静に見れば、とてもとても可哀想なのは理解しているのだが、、。)

最後、なんとかしてあのラストでの佐久間にとっての救いを考えた。(ここを納得せんと辛すぎる)
それで思いついたのは、
佐久間は元々大前提、人間性を失っている凶悪な犯罪者であった。(母親からの虐待という同情の余地もあるが)
また、物語初めの佐久間見れば分かるが、常に攻撃的で、まともなコミュニケーションは取れないのも分かる。
そんな佐久間は当然、”全く”モテなかっただろうし、童貞だっただろう(偏見)
そんな佐久間が最後、あんな綺麗な女性に『愛している』と言われ、最後には自分を庇って死んだなんて、ある種幸せだったのではないだろうか。少なくとも、物語最初の、人間性を失った悪魔のまま、母親や社会や自分自身を呪いながら死ぬよりは、マシだったと、、、そう思いたい。

それが、嘘の愛だったとしても、、。