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福田村事件のATOMのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
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押しつぶされるような虚脱感に襲われる。食欲が湧かない。
虐殺事件という事を予告で知っておきながら、安易な気持ちで観にきてしまった
こういう物から目を逸らして生きていきたい。何も考えず、ただ幼少の頃のように駆け回っていたい。
ああそれでいいはずなんだ、ただただ暗い世界を考えず笑って幸せでいたい。どんなに暗い世界があろうともそこを見ずに幸せでいて良いんだ。暗澹たる世界があろうともそれを知っていても、気にせず笑っていいはずなんだ。
だが、出来ない、今はまだ上手く笑えない。
きっとその世界を知ったとしても何もしない自分を知っているのに。

時代が、そうさせたのか。
あの時代だから起こったと、今と切り離して考えようか。
いや、人間の内の中には、社会という籠の中では魔物のようなものが姿形を変えて生きている。
そこから逃れる事なんて出来ない。
自らと戦わなきゃいけないんだ。
その存在から目をそらしちゃいけない。
月並みだが、自分たちが繰り返してしまわぬように、立ち止まる事が出来るように、だからこそ人間の歴史を知らねばならない。

映画は娯楽であるが、時にそこを飛び越えてフィクションであろうとも、鑑賞者の心臓を槍で貫く事がある。忘れられない経験を追体験させる。
テレビのドキュメンタリーでは届かない場所に届く事がある。

罪とどう向き合えばいいのか、人間の業とどう向き合えばいいのか
僕らは脈々と流れる血の中に罪を背負ってるんだ。

どこに向かって行けばいいのか、まだ分からない。
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