みんながみんな、自分のメンツや根拠のない噂のために道を踏み外してしまう。
人間が同じ人間に手をかける、殺戮シーンの生々しさが凄かったし、観た後もなかなかに引きずってしまう。
止められない人、制御がきかなくなってしまう群衆、その中で言い放たれる瑛太さんの一言が刺さる…。
(属性で命の価値を決めようとするのは今の日本人だってそう。老人というカテゴリーに入れられたら自決させられなきゃいけないの？とか、ホームレスに価値はないの？とか。)
そして、最初に手を下してしまったのがあの人というのも劇映画ならではの作劇で、悲劇として残酷すぎて。
震災後の朝鮮人虐殺について、政府からのシラばっくれコメントも話題だった昨今、この事件について発信することの重要さ。こういう作品はもっと作られるべき、観られるべき。
あとはこの話、SNSでのネットリンチにも似たものがあるんじゃないかな…りゅうちぇるや花ちゃんが殺されたのもこういうことでしょと思っちゃった。
あと、女性の描き方については各所で言われてるようにだいぶ不快感があったけど、わざとなのかなあと思った。甘ったるい仕草で女性性を最大限に使って男性に依存することでしか生きていけない(事実、井浦新さんと別れようとしても他に行くところがない)田中麗奈さん。依存してるくせに新さんを責めてばかりいるところとかすごく嫌だったけど、大正時代の女性たちは、ああやって生きていくしか術がなかったのかなと思った。コムアイさんも然り。
にしてもちょっと、人間関係を描くのに性愛表現に偏りすぎてたのも事実かな…
バイプレイヤー含め、キャストがすごく良かった！
東出くんはハマり役すぎて大丈夫？となるほど…
そしてMIOKOさん良かった！(filmarksはおろか公式サイトにさえクレジットされてないの何故？今すぐ入れて〜！)朝鮮飴の女性も薬売り一行の子役も。カトウシンスケさんは登場シーン少ないのに存在感が強くて、やっぱりかっこよかった！
