・変な家が出てくる映画好きなので、まず主人公が眠りから覚めるときに横になっている場所の、ベッドとも言いかねる「一段高い畳」の特異さが良いし、その次の場面はキッチンの壁が煉瓦だったり、和洋の混合が強調されていて面白い。
・犬の散歩時、近所の家の階段から駆け下りてくる黒い犬のはしゃぎ具合が素晴らしい。
・逃げた犬を探して森に入り込むと湖が写るが、ロケーション良いなあ。ルノワールの映画で見たことありそうな。
・二人の男が焚き火を囲んで会話する場面が全体の半分以上を占めるが、不思議とずっと見ていられる。ツーショットだけでなく時折切り返したり手持ちに変えたり、カットの選択とタイミングが端正だからかもしれない。画面に火があることもやっぱり大きい。
・男キャンプはケリー・ライカート『オールド・ジョイ』、犬捜索譚は『ウェンディ&ルーシー』っぽい。
・エピローグとラストカットの簡素さも良い。劇映画監督第一作とは思えない抑制された感じがある。