こばまさ

正欲のこばまさのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
3.6
最近邦画が多めなワタシです。
『パレード』と悩んだけど、先にコチラから観てみよう。
何となくフォロワーさん達のレビューを見る限り、一筋縄ではいかないっぽい。
それでは、最後までブレずにいってみよう。


-横浜に暮らす検事の寺井啓喜(稲垣吾郎)は、息子が不登校になり、教育方針を巡って妻と度々衝突している。
一方、広島のショッピングモールで販売員として働く桐生夏月(新垣結衣)は、実家暮らしで代わり映えのしない日々を繰り返している。
ある日、中学のときに転校していった佐々木佳道(磯村勇斗)が地元に戻ってきたことを知る。
また一方で、ダンスサークルに所属し、準ミスターに選ばれるほどの容姿を持つ諸橋大也(佐藤寛太)
学園祭で、ダイバーシティをテーマにしたイベントに大也が所属するダンスサークルの出演を計画した神戸八重子(東野絢香)は、そんな大也を気にしていた。
何の接点もないそれぞれの人生が、ある事件をきっかけに重なり始める-

“正しい欲とは、一体なんなのか”


これは確かにレビューが難しい。
原作を読んだら、もっと登場人物1人1人の背景や心情が理解出来たのか…否か。

映画という、一歩引いた視点で観ていたから理解出来たけど、これが現実に目の前で起こったとしたら、果たして受け入れられるだろうか。
人にはそれぞれ色んな嗜好があるし、多様性を謳う今の時代、みんな違っていい筈だ。

それでも、自分の常識の領域を超えた時、人は理解する事を諦める。
諦めるというより、あり得ないと思ってしまうから。
だから、稲垣吾郎が演じる寺井が放つセリフや立ち振る舞いは、至って常識的に映るし、視聴者をそっち側へ導いていく。

社会的な立場や、生まれ育った環境も大きいと思うけど、寺井の言動に7割以上賛同してた。
自分の子供を学校に行かせたいと思うのは当たり前の事だと思うし(不登校になった経緯もよく分からなかったから
妻も妻で、子供がYouTube配信をする為に、動画配信に詳しい知人の男を家に上げる?夫が仕事で不在の日中によ?
そりゃ、吾郎ちゃんも不機嫌になるよ。

しかも、配信に夢中になり過ぎて、夫が仕事から帰宅して出した晩ごはんは、顔パックしながら片手間に用意したレトルトカレー(あとオムライスとか
確かに彼の家族に対する向き合い方がマズかったのは否めないけど、この奥さんも自分勝手過ぎないか?と思ったね。


常に正論を振りかざし、常に正義の中で生きる寺井(稲垣吾郎)に対し、他の登場人物はみんな自分を隠しながら生きている。
交わる事のない筈の彼ら(彼女ら)が、ある事件を発端に繋がってしまう。

ラストでの、稲垣吾郎と新垣結衣が対峙するシーンはめちゃくちゃ引き込まれた!
素晴らしいセリフの応酬、その間(ま)とその声のトーン、ここに全てが詰まっていた。

ただ、なんか急に終わった感が…


これは、もう1回観ると更に深まる作品かもね。
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