ボギーパパ

フェイブルマンズのボギーパパのレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
3.5
劇場2023-21 TC熊本

観る前から、アカデミー賞は多分獲れないだろうなぁ、、、
と思っていたら、やはり手ぶらで帰らされた、、、そういうもんでしょうね。スピルバーグの自伝的映画愛告白作品との認識を持ち鑑賞。
しかし、、、鑑賞したら思っていたのと全く違う映画だった。

冒頭、映画館の暗闇を怖がるサミーに対し、
上映の仕組みを説明することで恐怖を取り除こうとする技術者の父と、叙情的かつ感性で訴える母。このある種の対立構図がスッと腑に落ちる。あぁ何か悲しいことが起こりそうな序章。
しかしサミーは8㎜カメラ、編集機を手にし映画の世界に直走っていく。

お父さんの説明による映画の仕組み、ファイ現象。このところ何故だろうか、作品鑑賞中かなりの回数この説明を聞いている(^^)

と、ここまでは家族の再生物語と、映画に魅せられた、それはもう美しい映画愛満載によるスピルバーグの自叙伝まんまの作品であろうと思っていた。

しかしサミーが成長していくにつれて、周囲は色気づき、スクールカーストの上に差別はあるわで、、、まぁ60年代初頭のマッチョなアメリカングラフィティの華々しいアメリカ万歳の世界の裏には、こんな感じ渦巻く状況だったのだろうが、まぁ醜い醜い。

そしてサミーの成長は、愛して止まない映像を通して、見てはならない、気づがなくてもいいようなことに触れるところに導く。虚構の世界を映し出すだけでなく、隠したい真実をも映し出してしまう、、、映像の恐ろしさ、、、
えっ?映画愛の話じゃないの?

しかしその一方、映像が人の心を大いに動かすことにも気がつく。最後の最後に出てきたフォード監督(デヴィット・リンチ)のお言葉、映像を愛した男しかわからない重みか。

家族をバラバラにし、人間関係を良くしたりも悪くしたりもする映画の魔力、魅力に魅せられた人間の話だったのだ、、、まぁそれがスピルバーグなのだったのね

思い込みの勘違いで???不思議な感覚に陥ったが、映画の魔力、魅力に魅せられた男のお話、そしてタイトルの『フェイブルマン【ズ】』とある通り、家族に呪縛そして解放のお話として面白かったから良しとします(^^)
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