よこた

パラダイス/半島のよこたのレビュー・感想・評価

パラダイス/半島(2023年製作の映画)
4.4
めちゃくちゃ良い映画。
良すぎて座席で斜めになった(後ろの人の邪魔にならない角度で)。
いくつかのシーン良すぎて唸りたくなったけどがまんした。

伊豆の風景も、部屋の中のシーンも、いつも光と影が美しい。ずっと観ていたい。

人生を生きていたら起こる、ありきたりなことや、突飛なことが、三人の世界で織りなされて、ひとつの小さな世界が確立されく。その世界にひたひたと浸かっていく感覚がいとしかった。ひとつひとつの生活の営みと会話がいとしかった。

彼らの暮らしが丁寧に画面に映されているからこそ、途中で出てくる映画にしかできない表現でのシーンは、魔法にかけられたみたいな心地になった。

もっと三人の暮らしを、会話を観ていたかった。でも、映画は終わっちゃう、でも、三人のそれぞれの暮らしは続いていく。映画が終わりを迎える時に、映画が終わる、というよりは、三人を映していたカメラが止まってしまうんだなという気持ちになった。表現が難しいけれども、三人の暮らしと人生の、なんとも微妙な手触りがたしかに感じられる、ひとつの世界、ひとつの物語のよろこびに満たされる映画だった。

大好き。
よこた

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