傑作・名作!
カフタンって知らなくてなんとなくカフスボタン的なものを想像してましたが、
トルコの伝統衣装のことなんですね。
シルクっぽい美しい極上の布に
気が遠くなるほど細かい刺繍や
金糸の装飾のついたオートクチュールの高級品。
それの仕立て屋が舞台。
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既製品の波に追いやられていて
若い人も職人になりたがらない伝統的な世界。
そんな伝統的な舞台で描かれるのは、人間の自由についてのお話。
「伝統イラネ」とか「古いものイラネ」なんて事言わなくても
人間の自由を高らかに描くことはできる。
LGBTQプラスに平等の権利を与えることと
伝統を壊すことはいちいち結びつけて考えなくていい。
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と・に・か・く・映・像・が・素・晴・ら・し・い!
冒頭の青い生地の滑らかで冷ややかなグラデーションがもうもう素晴らしい。
この映画間違いないわ!と確信できたスタート。
しかもこのクオリティが最後までずっと続く。
夫と若い職人が惹かれあっちゃうわけなんだけど、映像だけでギンギンのビンビンに伝わるわけ。
はっきり言って全シーンエロいのさ。
エロいシーンはぶっちゃけほぼないんだけど
(個室シャワーの足くらい?)
ずっっっとエロエロ。
しかも上品なんですよ。
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キャラが素晴らしい。
妻は気づいてるんですよ、最初っから。
すぐ気づく。
視線1秒で気づいちゃう。
(おそらくずっと前から気づいていた)
妻がどんな気持ちなのか、
夫がどんな気持ちなのかはわかりません。
想像することはできるし
きっとこうだろうと書くこともそりゃできますよ。
でもしたくない。
せっかく2人が押し殺している、相手を傷つけないようにしているのを、僕が明かしてしまいたくない。。
(なにそれ)
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女性映画でもある。
けしてよくあるゲイ2人に挟まれた女、ではない。
変に理解があったり
異常に差別的だったり
途中で映画から消えたり
最終的には急に味方になったりと
ゲイ映画の中で便利に使われる女性キャラなんかではない。
ひたすら自分の意思で強く美しく生きる。
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若い女性客が布を選ぶときに
「このピンクの布はどうですか?」と聞くと
若い女性客は
「ピンクかぁ…」的な感じで結局布を選べずに店を出ていく。
そこでこの映画のタイトル、青いカフタンが効いてくるわけですよ。
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終盤、僕は「さっさと青いカフタン作れよ!」と思っちゃってました。。
夫が全然青いカフタンを完成させねーわけ。
何をしとるんだ、サッと仕上げて他に大事なことに集中すべきだろーよ、と。
浅はか!俺!
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ラストネタバレはコメント欄に!