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⻘いカフタンの仕立て屋のkakuのレビュー・感想・評価

⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)
4.0
以前、同監督の『モロッコ 彼女たちの朝』も、とても良かったので、『青いカフタンの仕立て屋』も観てみようと。
良かった。やっぱり良かった。
ちょっと人間関係が複雑なんですけど、何が何だかわからない複雑さではなく、多様性な複雑さで、伏線も張られているので難しいわけではないんです。
先日、『怪物』も観てきて、そこにも多様性やアザーサイドな複雑さが含まれていたので、現代はいろんなことを『普通に捉えられるようになれたらいいね』ってことなのかな?
あまり書くとどちらの映画もネタバレになるので書きませんが…

個人的には映像が素敵だと思いました。
以前、モロッコによく遊びに行ってたので懐かしさもあり。
湿度のない空気、網戸のない窓、窓から聞こえるカモメの鳴き声、波音、メディナ(旧市街地)の狭い路地、鉄格子のような重い門、換気扇のない少しガスの臭いのするキッチン、クミンの香りのする料理、タジンの香り、オレンジの甘み、ラジカセから流れる賑やかなモロッコ音楽、夜の街は赤い街灯、クッションがいっぱい置いてあるソファー、近くのモスクから流れるお祈りのためのアザーン、ジュラバ姿の街の人たち、モロッコのパン・ムサンメン、アッツァイ(ミントティー)…さすがにハマムは行ってないので知らなかったんですが、あんな感じなのねーと思って見たり。
物語の舞台はサレという港町。モロッコの首都ラバトのすぐ近くです。私はサレは通ったことしかないので、なんとなく長く過ごしたエッサウィラを想像していました。
モロッコって、こんなだったな、と映画の中から感じられることもとても嬉しくて。
旅行としてのモロッコではなく、生活の中のモロッコを感じるにはとても良い映画です。ホームステイしたらきっとこんな感じなのかも。
私はレンタルハウスをしていたので似た雰囲気のお家で過ごしたり出来ました。モロッコ、バカンスのためのレンタルハウスたくさんあるのでホテルではなく普通のお家で過ごすこともできます。
今も部屋に乳香をぶら下げているので、その匂いを嗅ぐとモロッコを思い出します。
匂いの記憶ってすごいよね。クミン、乳香嗅いだら一気に気分はモロッコに行けるもの。

今、すぐモロッコに行くのはきびしいのでってことで、雰囲気を味わうのであればこの映画おすすめです。
そして、カフタンってこうやって作るのかと勉強にもなりました。そりゃ高いはずだわと。
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