桑原

クリード 過去の逆襲の桑原のレビュー・感想・評価

クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)
2.0
ロッキー含むシリーズファンでも、いや、だからこそ擁護できない内容で辟易としてしまった。

予告見た限りの印象だと、もっとエグい過去があって、キャリアが崩れ去り全てを失ったうえで、ふたたびリングに上がり自分の価値を証明しなければならない。
勝負には勝った、しかし、汚れた過去を持つチャンプを応援する者はいない。

だが、リングの上で拳を交えた過去の兄弟との間には私怨は既に消え去っていた。
全てを失うと同時に自責の念も消える。そして、アドニスには家族がいる。
元チャンプの男は、スターダムから消え去り1人の父として静かに暮らすのだった。

みたいなことを勝手に想像してたんですよね。

ところが蓋を開けてみりゃ、んーまぁそうか。くらいの内容で、自責の念を晴らしたいから、リングで返り討ちにしてスッキリしたろ!みたいな。ドラマの積み重ねが弱いからそう見えてしまう脆さがな...。

試合のシーンも、いわゆるゾーンを表現するかのような一瞬のスロー描写だったり、ハイスピードな試合の中で、瞬時の判断を繰り返すスポーツ感が演出されていてよかったのに、最後の試合シーンではごっそりその味付けが削ぎ落とされていたのも残念。

別にフルラウンドノーカットでやれとは言わないし、ロッキーシリーズでもハイライトだけみたいな演出は多いから良いんですけどね。
でも、心象風景の中で殴り合って気付いたらファイナルラウンドって!!
シンエヴァのバトルじゃないんだから!

そこを削いじゃダメでしょう〜
最後の試合シーンは、積み重ねてきたドラマ、すなわちキャラクターの想い・人生が拳に乗って、観客の胸を打つんですよ。
それで観客は勝つってわかってても泣くんですよ。

そこらへんが無かったのがね。
まあそら勝つわな。って冷めちゃったのは初めてでした。なんだよこれ〜。


『ロッキー5』くらいのおもしろさで、かなりキツい。とはいえ、ロッキー5は他作品と繋がることで、ロッキーの人生を語る上で大切な描写だと思うので割と好き。

でも、クリード3は単独のロッキー5みたいなもんなのでね...そう思うとキツいよなぁ。

今後この作品を救うタイトルも出なさそうなのがとうとう極めつけにキツい...。

たのしみにしていただけにかなり言葉キツめです、申し訳ない。
桑原

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