せいけ

クリード 過去の逆襲のせいけのレビュー・感想・評価

クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)
4.3
クリードシリーズの締めくくりになるのかわからないけれど、ロッキーがいないことでロッキーシリーズとクリードシリーズの違いが浮かび上がる自己言及的な作品だと感じた
当然といえば当然だが勝者の人生を歩みほぼ余生のような人生を過ごすアドニスと長らく収監されていたデイムの対比が印象的な
どこかよそよそしく気まずさすら感じる2人の空気感が本作の白眉
ジョナサン・メジャースの存在感は本当に凄まじい
明確なエピソードは因縁の事件くらいだがそれ以上のキャラクターの深みが演技で醸し出されている
どこか後ろめたさを誤魔化すかのような振る舞いを続けるアドニスの姿は見ようによっては感情移入しづらいかも
個人的には味に感じたがそれゆえラストの試合のカタルシスは確かにやや弱い
女性描写や試合シーンの演出などこれまでのサーガと違うものをという意志が見える分、シリーズの変遷を感じる面白味があったかと
負け戦としか思えない企画をひっくり返す大傑作だった前2作に比べると物足りなさは否めない
ただこの綺麗に終わりきらない具合もなんとなくロッキーサーガっぽいのかなと思ったり
色々な意味で個人的には嫌いにはなれない1本