嘘と真実、光と影というモチーフから落ちぶれたスター女優の後世を描く
どの作品にも通ずるけど、どこか過剰で倒錯したような人物描写はかなり痛々しい
大胆なセットと陰影のコントラストを極限まで高めた映像は美>>続きを読む
いかにも演劇的なセリフ回しで気が遠くなりそうなところに驚きの描写をぶち込んでくるというか
不条理と因果応報の狭間を行き来していくような居心地の悪さ
こんなに孤独を感じる映画もそうそうない
未亡人の労働者女性とアフリカ系移民の成り行きの結婚生活を生々しくも、アーティスティックに捉えていく
フレーム内フレームを多用しながら、規範から飛び出た人物がやが>>続きを読む
魅力的な人物たちと、異なるルーツによる葛藤と亀裂、そこから至る行動など、物語として存分に楽しめた
コウとユウタという文字にすると似ている2人も、当たり前ながら全く別の人物で違う人生を歩んできたし、これ>>続きを読む
ミュージカルシーンや編集の引き出しの少なさなど、難点に感じるところはありつつも、続編の在り方として支持したい1本。露骨なまでに前作の語り直しとカウンターに終始しているため、否定派も理解できるけど、むし>>続きを読む
トニスコ強化週間。これもめちゃくちゃ面白かった!70年代のフィルムノワールを思わせる、色気ある画面にひたすら魅せられながら、シェーン・ブラックのツイストの効いたストーリーとアクションに飛躍していく展開>>続きを読む
ジャンルが転用していく心地よさ、映像的快楽に乗せられていく極上の娯楽作
スリリングなテロ描写から、映画という表現媒体そのものを表したようなSFのギミックに心を踊らされる
物語をドライブさせたまま、複数>>続きを読む
物語の構造や展開は面白いなと思いつつ、やや頭でっかちに感じてしまったのは、中途半端にラジオの特集を聞いてしまったからなのか
ランティモスの映画にしては、ルックに惹かれる要素があまりなかったのが物足りな>>続きを読む
黒沢清純度が濃厚な娯楽作
転売屋が主人公という感情移入がしづらい人物像の仕事描写を、その人なりの享受で描いてみせるというあたりからこの映画にグイグイと惹きつけられる
理屈に沿わない悪意の伝播により、な>>続きを読む
腹違いの兄と妹の危うい関係に、遺産相続とかヤクザの縄張りという要素が絡んでくるけど、結局は愛と欲望の物語に帰結していく増村作品
キレキレのアクションを繰り出す勝新は、その風貌から自分をコントロールでき>>続きを読む
別れた夫への復讐を誓う貴婦人と、その夫からへの愛に、板挟みになる若い女
貴婦人から遣われた女は、運命を宿命づけられている不条理に見舞われ、男へ愛情が湧いてくるも、立場を弁えさせられる
広義の意味でブレ>>続きを読む
これってほぼ何も語ってないのと同じなのでは?というくらいの茶番劇
俳優陣は好きな面々だったので、ファンムービー的に楽しむことはできたけど、話の筋立てやテーマについては、ちょっとどうかと思うくらいにいい>>続きを読む
丁寧に誠実に作られた温かみある映画
スケートのシーンは、間違いなく映画史に残る解像度で描かれており、スケートが上達するシークエンスはどうしたって胸が熱くなる
視線の交わらなさなど、視覚的にテーマを示す>>続きを読む
劇中でもわざわざ言及されるけど、スタイリッシュな風貌の河合優実が、縦横無尽に動きまくる、もう動いているのをずっと観ているだけで、あっという間の137分
そんな河合優実の動く身体を、動物を見るかのように>>続きを読む
黒と暖色の光源によるクールなルックと、縦の動きと映画内フレームや、奥行きを生かした画面構成がとてもハマっている。フレーム越しに、追い込まれた人たちを見殺しにせざるを得ないシチュエーションに、映画を観て>>続きを読む
濱口竜介の原点となる情熱と知性が宿った野心的でありながら、明快な活劇
8mmフィルムの粗い画面は、見たいものを見えなくさせるが、映画にしかあり得ない世界が映っている
悠々と動き回る俳優と映画内映画
高>>続きを読む
ホン・サンスが素知らぬ顔でやってのけた映画の挑戦
ひとつの建物で起こる出来事という階層分けをすることによって、物語の純度を高めたように見せかけて異様な余白をもたらしてくる
目の前の出来事を確かに記録し>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
脚本の構成力が異常
これほど登場人物が多くて、複雑な物流システムが描かれているのに、キャラ立ちをさせながら混乱させずに、物語として面白くさせているのはかなり凄いことなのでは
社会の歯車で動いていく、人>>続きを読む
ほんとくだらない話なんだけど、映画的な仕掛けでありながら私小説的でもあるという重層性がまた面白味を増している
そういう意味ではとてもホン・サンスらしい作品
どことなく濱口竜介への影響を感じさせるカメラアングルやカメラという機械への考え方
ここで起きている出来事を明確に記録しながら、時系列をシャッフルさせる遊び心というか厄介さが、映画そのものを表しているよ>>続きを読む
追うものと追われる者によるアクションのつるべ打ち
キャメロンのキャラクターの図式化というか単純化が、この作品に至ってはこれ以上ないほどうまくいっている
執念以外の何者でもない、T-1000が一点集中し>>続きを読む
恋だの愛だのなんかようわからんが、男女3人集まってわたわたしていると、それだけで面白い
三角関係をテニスのラリーのごとくボーダーを行ったり来たりする語り口
独特なEDM風味の音楽使いや時系列をシャッフ>>続きを読む
なんとインモラルな作品であろうことか
もはやここまでくると、今の時代には許されないとか言うことに意味を感じない(そもそも当時から倫理的に抵抗を覚える人はいたのでは?)スポ根ものでありながら、やはり欲望>>続きを読む
余白が多いスタンダードサイズの画面と、悪意を放り投げるような宙ぶらりんのセリフ
やたらと饒舌だけど、正論と言うには乱暴で、暴論と言うには的を掠めているような具合の言葉がなんだか居心地が悪い
若者たちの>>続きを読む
倦怠期夫婦モノの(実際にはおしどり)パッケージからホークス的なスクリューボールコメディとマッドマックスを経由して、熱きフェミニズム映画としてまとめ上げた、しんちゃん映画の中でも異色の傑作
やはり、しん>>続きを読む
キティ・グリーンが『アシスタント』で得た手法をジャンル映画へと昇華した傑作。ロイヤルホテルにやってきた2人を待ち受ける、いやらしい所業の数々。抑制しているからこそ、生々しい不快感が侵食してくる。視点が>>続きを読む
これでいいのかクレしん映画!
話の組み立てや演出が全体的にもっさりしていて、そもそものクオリティがあまり高くないくせして、優等生的な着地に至ろうとするその小賢しさが1番好きじゃない
おふざけしているか>>続きを読む
ピクニックに行った女学生が行方不明になる話
なぜ消えたのか?より、女学生が消えて以降のバランスの崩壊に主軸を置かれている印象
なぜ消えたのかはよく分からないものの、格調高いおとぎ話を観ているときに特有>>続きを読む
なんというか映画が詰まっていた
なんてことない出来事だけど、当人にとっては大事なことに、嘘と本音が混ざり合い、繊細な感情が浮かび上がる
やはり、嘘をきっかけに話にギアがかかると映画を観ているなという気>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
息つく間もない面白さ
一切の弛緩を許さない、駆け抜けて行くような爽快さに、乗せられていく心地よさと、思春期ならではのイヤなシチュエーションにこちらの感情も忙しくなる
映像表現が毎度凄まじいのだが、ピク>>続きを読む
成瀬巳喜男の遺作となったメロドラマ。『乱れる』のセルフリメイク的な風合いで、加山雄三がどこまでも司葉子を追いかける。見つめ合い、目を逸らし、立ち塞がるの繰り返しだけでここまで映画が面白くなるのかと驚嘆>>続きを読む
韓国産クライムサスペンス
アスペクト比が変わる意味とか、安っぽいスプリットスクリーンとか、意図が分からず悪い意味での軽さを感じる作風に、やや辟易していると後半からケレン味溢れてぐんぐん面白くなる
アク>>続きを読む