烏丸メヰ

禁じられた遊びの烏丸メヰのレビュー・感想・評価

禁じられた遊び(2023年製作の映画)
2.6
“エロイム”は神に、“エッサイム”は悪魔に呼びかける言葉。転じて魔術を実行する呪文。

庭でトカゲの尻尾切りを目撃した幼い息子に
「トカゲは死なないし、切れた尻尾からもトカゲの体が生えてくる」
と出来心で嘘をつき、漫画かゲームで聞きかじったのだろう呪文を教えた父親の直人。
ある日、直人の妻と息子が事故に遭う。
息子は一命をとりとめたが妻は帰らぬ人に。
失意の息子が提案したのは
“トカゲみたいにママを生き返らせること”ーー。


想像通りの芝居、想像通りの台詞回しに、想像よりずっとファンタジーに振り切ったエンタメホラー。
公開時は「橋本環奈さん×男性アイドル」というだけで昨今の“演者のファン向けパッケージの中身スカスカJホラー”だと思い(同監督の直近作『それ森』の最悪さもあって)鑑賞を見送っていた。
昨今のJホラーのふざけきった客ナメを観疲れてきてれば当然だが、正直個人的に、白石晃司監督のJホラー以外にはお金を落としたくない所まできている。

しかし観ずに悪口一辺倒でいるのは映画に対し失礼だし単なる懐古の思考停止なので、Amazon primeにて鑑賞。
前述のように、思った通りの邦画若手芝居、思った通りの中田監督作品的昭和台詞回し(泥棒猫!って令和の女性が言うか?)といった人間ドラマのリアリティラインはやはり好きではないが、怖くないは怖くないでも潔く分かりやすく「宙ぶらりんヒトコワ」や「SF」や「ギャグ的チープ自虐」に逃げてスカさずきっちりとダークファンタジーに振り切ったのはエンタメとして楽しかった。
ファーストサマーウイカさんはめちゃくちゃ良い。

まあ例の西洋魔術呪文、結構万能な密教、金で態度変えるキリスト教と、モチーフを煮詰めずオカルト風味に仕上げました的な雑なぐっちゃぐちゃ感はあるが。
片方を持ち上げ片方を下げる、という意味ではなく純粋に『ペット・セメタリー』を観たことが無い若者とかの日本人なら娯楽ホラーとして楽しめる気がする。
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