『ゴジラ-1.0』を観てきました。
終戦直後のまだ戦争が抜けきれていない良くも悪くも感覚が麻痺した人間たちだから描ける復興、人情、使命感のドラマが凄く良かった。
みんな先を見ようと生きながらも戦争に心が縛られていて、仕切りに「役に立てなかった」「生き残ってしまった」ってセリフが出てくるのが物悲しさと、恐ろしさも感じる。
主人公の人間くさい弱さもリアリティがあって良かった。
使命感と強靭な精神の持ち主が必ずしも兵士になるのではなく、誰もが戦争を強いられたって事が伝わってくるし、過去への負い目から悪夢にうなされ、同居はしても家族にはならない一線を引いた関係や、それでいて繋がりを引き止めようとする自分本位な弱さも神木隆之介の演技と相まってイライラする程に引き込まれたし、だからこそ「僕の戦争はまだ終わってないんです」って言葉に説得力があった。
また、名優たちの中で負けじ劣らずと昭和演技のハマりっぷりを魅せてくれた浜辺美波にも感心した。
そして何より、ゴジラが《厄災》ではなく《怪獣》として君臨していたのも良かった。
公開前から比較される意見をよく見たけど『シン・ゴジラ』に引っ張られる事なく、良い意味で監督らしさのあるゴジラになっていたと思う。
ただ、メインテーマを流すタイミングは謎。
何故このタイミングで⁈そして何故こんな長尺で⁈と驚いた。
加えて、展開や設定に一々理由をつけて説明したがる《理屈っぽさ》を感じるのも玉に瑕。
そこも『シン・ゴジラ』の空想科学との差別化と言われたらそれまでなんだろうけど…
要所でゴジラの動きにアクションゲームのモンスターっぽさを感じてたけど、エンドロールでスクエニが出てきて納得。
個人的にはかなり楽しめました。
