監督のドラクエやヤマトでの大失態を知っているため、鑑賞前は期待半分の不安半分だった山崎貴ゴジラ。ツッコミどころが無いわけではないが、全体として面白かった。
良かった点
・超自然的生物としてのゴジラが、戦後の0から立ちあがろうとする日本を理不尽に破壊する。「街を壊す」よりも「人を殺す」恐怖の対象としてゴジラが描かれている。
放射熱線の発射シークエンスは生物というより機械的で賛否両論あると思うが、自分としては「タメてからの開放」のカタルシスがあって良かったと思う。
・監督の作家性や反戦メッセージ(というか思いっきり永遠の0)が、ちゃんとゴジラ映画の中に落とし込めていた。
ダメだった点
・戦争や死の描き方が全体的に緩い。戦後の設定なのに街並みや人が綺麗すぎる。
人間パートの中で、ちゃんと描くならこんな綺麗事じゃ済まないだろというシーンが結構目に付いた。この辺は良くも悪くも山崎貴クオリティ。
54年版ゴジラが「今からお父ちゃんのところに行くのよ」の一言で与えた衝撃には及ばない。
・ラストのご都合展開と続編匂わせは完全に邦画の悪癖が出てしまった蛇足。
