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ゴジラ-1.0のkakakaのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
2.9
水と油、みたいに人間ドラマパートとゴジラ現出パートが分離しており、しかもなまじ内容があるようで無い人間パートが長いので、自分は今、何の映画を観ているのか、宙ぶらりんに感じる時間が少なくない。とにかく映画の世界に入るまで苦労する作品だし、美術が悪いのか、役者が悪いのか、時代感も感じずらい。当然戦争の悲惨さ、戦後処理の辛さなんて微塵も伝わりません。
しかし流石、伊福部昭のゴジラのテーマが劇伴として流れた瞬間、ゴジラ映画になるんですね。
いや、ジョン・ウィリアムズ同様、もはや作品の顔となる音楽を作曲出来る作家は偉大です。
しかし、銀座襲撃のシーンも短い。ゴジラ映画として必須のランドマーク破壊と、美しいまでの地獄絵図としての画が描けてない。一応銀座の時計塔破壊しているけど、まぁ地味で、、、。
ゴジラの熱線からのキノコ雲は、あったとされる3発目の原子爆弾を想起させ、まぁこの時代設定ならそう描くよな、という感じにとどまる。
それからゴジラ上陸の際、上陸シーンを描かないので、画面がパンすると、すでにゴジラが陸上にいる、ってシーンが多いので、実態の無さ、生物感の無さにもげんなり。かぶいていないゴジラにしょんぼりです。
中でも一番のネックは佐々木蔵之介のキャラ設定。生活背景は無く、どこかコメディリリーフ的な演技がシリアスな空気をいちいち壊すので本当に余計。なまじ良い役者さんなので、ここまで良さを殺せるのは凄いと思う。もはや怪獣映画としての楽しみは無いので、その分クソヘタレ野郎の神木隆之介が闇落ち特攻野郎に変貌する様は面白かったです。
作品全体を通して良かったのは、はい、ここ泣くタイミングねって、カメラの外があることを意識させちゃうのはご愛嬌だが、それでも時代感もまとっていて本当に良い演技だった「アキコ」ちゃんのナチュラル演技と、元海軍のお歴々と企業の皆さんの面構えでした。
あと、CGでゴジラ作ってんだから、何で「わだつみ」作戦でダメージを受けるゴジラの姿を、例えばナウシカの巨神兵の如く半分肉が崩れて骨格が見えるようなビジュアルにするとか、そういうケレン味を出すのが苦手なのかな、この監督は。
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