麻生さくや

水は海に向かって流れるの麻生さくやのレビュー・感想・評価

水は海に向かって流れる(2023年製作の映画)
3.3
原作が好きで気になってはいたけど、実写であの空気感は無理じゃない?…と敬遠していた「水は海に向かって流れる」を鑑賞。
前作の「子供はわかってあげない」は劇場で見て「あぁ…やっぱり」ってなったもんで、今回はレンタルが出るのを待ちました。

家から距離のある高校への進学を機に、叔父さんの家に居候して高校に通うことになった主人公。
叔父さんの家に行ってみるとそこはシェアハウスになっていて、色んな人達と共同生活をすることに。
そしてその中にいたきれいなOLさんは、自分の父親の不倫相手の娘さんだったらしい……

予想していたとおり、家族の不倫や年の差の恋なんていうドロドロしそうなエピソードをゆる~い雰囲気で描いていた原作漫画には到底及びはしませんでしたが、思っていた以上に健闘していたとは思います。
ただ主人公の直達くんと同級生ヒロインの楓ちゃんの雰囲気と演技が絶望的でした……
今作も前作同様に「誰が誰のどこに惚れたのか」が描かれてないのも致命的。
特に楓ちゃん関連のエピソードが色々カットされてて、設定やセリフは原作どおりなのに「そのセリフはあのシーンがカットされてたら意味ないじゃん」みたいな残念な部分も…
原作のセリフがいくら魅力的でも、実写にして違和感が出るんならそこは実写の雰囲気に合わせるのが映画製作者の腕の見せどころだと思います。
にげみち叔父さんのキャスティングとキャラも微妙だったし……
でも直達くんのお父さんのキャスティングは最高でした♪
まるで漫画からそのまま出てきたかのような雰囲気。
そして「アメリカンドリーーム」も予想外のハマり具合でびっくり。
メインヒロインの榊さんはかなり難しい役どころだったと思うから、広瀬すずさんは大変だっただろうなぁ…と。
今作を見て思ったのは原作物の映画はやっぱり「キャスティングが命」だなってことでした。
その肝心の部分をスポンサーとかに握られながらいい映画を作るのは難しいだろうな…

原作を知らない人が見ても「可もなく不可もなく」な感じだったと思うので、原作が好きな人はやっぱりがっかり感が否めない作品だと思います。
前作同様に原作漫画を強くおすすめします!
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