「怪物だ〜れだ?」
以下内容に触れますよー
実は、冒頭から、母親(安藤サクラさん)の言動にイライラ来ていた。
この母親、自分の心配やつらさを子どもへの思いにすり替えて子どもに背負わせてくタイプの毒親や…
稚気に溢れ、構ってほしい感を存分に発散する嫌な感じの母親として、安藤サクラさん上手すぎるほど上手く存在してミスリードしてきた。
しかし彼女を頭からモンペ扱いする学校の「クソ」感もすごくて、ホリセン(瑛太)なんか出てきた瞬間もう吉田戦車の漫画かよって思うような異次元感。
だけど、ホリセン視点に切り替わると、これがまた違う世界が広がっていて。
そうしてひとつの事実をめぐり視点を変えながらそれぞれの精神世界が繰り広げられていき、最後に、「ふたりの」世界が明らかになる。
誰もが、誰かにとっての怪物であり得る。
そして、誰かの目線に立たなければ、誰かにとっての自分自身を知ることはできないのだ。
「怪物だ〜れだ」と、自分を見る者に徹底して問うていかねば。
同時に、どんな人でも、全き怪物ではあり得ない。その人なりの理があり、思いがある。
私が反発を覚えた麦野母、幼児虐待の星川父。
学校にとってのモンペ、事実を置き去りに組織の論理で隠蔽に勤しむ教職員。孫の死の真相は?校長の心の中は…
一面的などこかの目線で糾弾したり処罰したり排除したりすることがどれほど危険なことなのか。
その前にすべきことが、社会にはある。
「元に戻っただけだよ」というラストシーンのセリフが、絶望ではなく希望なのだ。
元に戻ったところから、2人で歩いていける可能性の重みなのだ。