斉藤百香

怪物の斉藤百香のレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
4.3

あらすじと、予告を見て思っていたのと全然違う映画だった。
久しぶりにスクリーンに飲み込まれるような感覚で、映画を見た。


★怪物とは何か、は、重要ではない

視点の妙。
序盤、明確に「怪物」に見えるものが出てくる。
「そうかこれが今回のテーマで、これがこの映画の怪物ってことね」
なーんて思いは物語が進むにつれ打ち砕かれる。
この映画は1つの出来事が様々な視点で描かれている作品だ。
視点変わると見え方が全く変わる。
さっきまで怪物に見えていたものが人間に見え、人間に見えていたものが怪物に変わる。

自身が一方しか見ていなかったことに気づかされる。
視点を変えるとこれだけ物事が違って見えるのか。
日常生活でも、そう言う見方、しちゃってるよね〜。



見終わった後、なんだか不思議な爽快感があった。
景色も、子どもたちの笑顔も、独特の台詞回しもより瑞々しく、輝いて見えて
映像、音楽、紡がれることば、その全てが印象的で
「とても美しく、よいものをみた」という感覚に胸が掴まれた。

この物語で大切なのは、
いわゆるミステリー的な解、これでいうと怪物が誰なのか?
ではない気がしている。とぼんやりとだけれど思う。

どう受け取るかはあなた次第。別にこんなとこ住みたいな〜でもいいw
それでもなぜだかきっとあのラストシーンがくっきりと、頭から離れないことと思う。

とりあえず、ラストまで駆け抜けて、映画「怪物」を感じてください。
斉藤百香

斉藤百香