masi

怪物のmasiのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
4.0
複数の視点で描かれる。
母親、教師、学校、少年たち…
私には他人事に思えず、終始胸が苦しかった。

結論などないし腹落ちもどうでもいい。
人生にそんなもの用意されていないのだから。
ただ苦悩があり生きる喜びがある。
その一コマ一コマが大事に描かれていた。

「怪物」は人と人、人と集団、集団と集団の認識の境界に生まれるのだと私は思う。境界の両岸の理解や想像、恐れや劣等感が、軋みを産み境界に深い溝が出来てくる。そこから孤独やイジメや差別や復讐や対立や戦争が起きる。それが「怪物」だ。この監督・脚本家は近い事を考えているのではないかと、勝手に想像する。

誰も興味ないだろうが、私は少年期に全く事実と異なる話を悪評を、同級生の母親によって広められた事がある。結果その嘘は私を怪物化し私もその嘘に乗り怪物として振る舞った。その嘘に乗る方が楽だったから。なんつって自分の事の様に彼らを観ていました。

わかりやすい意味や結論が用意されている映画ではないけれどね。いらんし別に。言葉にならないラストの美しい瞬間がすべて。
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