見終わった後の満足度が異様に高い作品。正直粗い点は多々散見される。合成丸わかりの序盤のアクション、「そのスケートシューズどこで手に入れたんだよ！」と言いたくなる氷上のシーン、丁寧に「ここをこうすれば爆弾は止められますよ」と教えてくれる敵など。しかし今作は"粗い所も含めて愛せるダメ映画"ではなく、"粗い所を超越するほどの面白い映画"になっている。『ミッション・インポッシブル』シリーズの面白い所を抽出したようなアクションのラッシュが凄い。MI:1のヘリコプターアクション、MI:3のようなストーリー、ゴースト・プロトコルのような潜入、デッドレコニングPARTONEのような列車アクション。そりゃつまらない訳が無いよなというシーンばかり。オリジナリティがない訳ではなく、倒壊しかかる家での戦闘や無茶苦茶な空中戦など思わず声が出そうになるあり得ない展開の連打が最高。
アクションだけではない。祖国に育てられた男パターンvs祖国に裏切られ復讐心を滾らせる男ジムの対比で描かれる話も良かった。特にジム側にもしっかり時間を割いて背景を説明しているのに好感を持てる。二人の拳がぶつかり合うアクションの重々しさ含めて、終始お互いを意識し合うライバルのように描かれる漫画的展開も熱い。
娯楽性に特化した作品で、見ているだけで日々のストレスが発散されるような快作。万人に勧めたい。
