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コカイン・ベアのmarimoのレビュー・感想・評価

コカイン・ベア(2023年製作の映画)
4.1
ご機嫌なチューンに乗せて人間が軽薄に殺されていくモンパニ娯楽作品
ゴア描写はしっかり気合が入っていてクマに目をつけられた瞬間は普通に怖いです
それでもコカインでキマッてるクマちゃんが可愛すぎるので感情の振れ幅がバグります

可愛い…怖い…グロい…可愛い
怖い…怖い…グロい…グロい…可愛い

このコカインベアは1985年にジョージア州で起きた実話です
とは言ってもこの事件でクマに襲われた人は記録上ありません
密輸業者が落としたコカインを食べたクマちゃんがオーバードーズで亡くなっているのが森で発見されたとのこと
人間のせいでクマちゃんが可哀想なことになってしまった悲しい事件です

あんなご機嫌に落下したかは分かりませんが
密輸業者のパラシュートが開かずに死亡したのも実話

映画全体としてはほぼフィクションなのですが
1番嘘っぽい”コカイン”ベアの部分が事実な題材です

事実をベースにはしているものの基本はモンパニ映画
ゴアな描写や展開をコメディ仕立てに描いているのでホラーテイストは全く無いです

一方でクマの本質的な怖さはしっかり描かれているのでコメディではあるものの一定の緊張感があります

冒頭から手際良く展開が構成されていて
コカインが森に配置されるまで流れ…テンポがよく面白い
クマに見つかったら絶望な緊張感…怖いし可愛い

登場人物の紹介だってサクサクと手際が良いです

ギャング
子供たち
お母さん
警察
森のレンジャー
チンピラ

こんなに登場人物が多くても混乱しません
それぞれ個性強めのキャラ付けなのでしっかり差別化もされてます
さらに途中参戦の救急隊員だって存在感抜群

いやいやめちゃくちゃ楽しい

この登場人物の紹介と合わせて
舞台となる森林公園の要所要所のシチュエーションも手際良く紹介

いやずっと手際が良すぎます
とにかくノンストレスで情報把握できます

ゴア描写のアイデアは悪ふざけ全開なのに
映画としては全く悪ふざけしない真面目さ
このバランスに好感触です
個人的なオススメゴアポイントは救急隊員のシークエンスです

人間に影響を受けてしまった自然の動物についての問題提起にもなっていて
エンタメ全振りではないしっかりメッセージ性も残してしまう射程の広い作品
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