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君たちはどう生きるかのちょものレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.5
大前提として「君たちはどう生きるか」は必読。
元は児童書で漫画版も出てるので、面倒臭がらずに確実に読んだ方がいい。
それさえも面倒だというズボラなドアホウは、せめてYouTubeにあがってる解説動画を見るべき。僕もそのドアホウの1人。

この映画は「君たちはどう生きるか」を再構築したものでもなく、この作品を読んだ人間がどんな行動を起こすかという、「君たちはどう生きるか」が持つ哲学のその先を描いた変態的なアンサーになっている。
その人間というのが主人公の眞人であり、そこに投影されている宮崎駿その人でもある。

幼少期の宮崎駿が落とし込まれた眞人は、コペル君でありながらヒミにとっての叔父さんでもあるというTENET的な構造もさることながら、大叔父様がナポレオン且つ現代の宮崎駿なんて構造もキモすぎる。

どんな時代にも扉が開かれる、時間軸から外れた塔の世界は映画というコンテンツに酷似していて、それは宮崎駿が設定やメッセージを絶妙なバランスで積み上げて創り上げた世界観でもある。
映画を観たって大抵は詳細まで覚えていることなんてほとんどない。
そこから印象に残る分子をいくつか持ち帰ることで、その作品に影響を受けていくというのが宮崎駿の望んだ形なのかもしれない。

自分が「何をしたか」をたった2時間に詰め込んだ異次元の傑作。
皇帝になった男がナポレオンにならないための物語。
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