フェル

君たちはどう生きるかのフェルのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
5.0
めちゃくちゃくらってしまい、力が入らず、上映終了後すぐに退席することができなくて焦った。
世界の見方を変えるスイッチを押されたような、大容量のアップデートをさせられたような気がする。
どこかから降ってきたインスピレーションをいつものような洗練されたアイデアに磨き上げずあえてそのまま出してみたような、テーマがテーマなだけにどう描いても難解になってしまうような、そんな作品だった。
過去作からのオマージュは多々あれど、雰囲気としては代表作よりも三鷹の森ジブリ美術館。
鳥が苦手な人と集合体恐怖症の人は注意してください。
私が鳥や集合体に感じている気持ち悪さの根源をこれでもかというくらい表現してたのでゾワゾワしました…

※以下個人的解釈










魂は寝てる間に彼岸に行くと言われるように夢の話だと思った。
自分の夢に似てるせいもあるけど、あの雑多な世界やしばらくすると忘れてしまうところや起承転結が薄いところなどが。
「どう生きるか」を私たちに考えさせるために彼岸を舞台にしたのかなと。
ただ、描かれていないだけかもしれないけど、あの世界が崩れても元の世界にさして影響はなく、鳥たちは元の姿に戻れたので、結局は大おじさんが独りよがりに作り出した世界に過ぎなかっただけなのか?とも考えたり。
宮崎駿の自己投影なのかな。
そして和製パンズラビリンス、和製不思議の国のアリス、和製ソウルフルワールドだった。

あと、ジブリ作品や他作品で私が惹かれていたものがことごとく彼岸を連想させるような風景や静けさだったことに気づき、腑に落ちた。
鑑賞後しばらく物思いに浸るためまっすぐ家に帰らずドライブをしたら、左に月と海、右に終電の江ノ電が通り、まるで本当に彼岸に迷い込んでしまったようだった。
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