鰤鰭

マダム・ウェブの鰤鰭のネタバレレビュー・内容・結末

マダム・ウェブ(2024年製作の映画)
2.2

このレビューはネタバレを含みます

んー、これは…嘘宣伝(本当に1ミリもミステリーサスペンスじゃない)を抜きにしてもなかなか酷い。これまでのSSUの“ゆるさ"とも少し違い、設定も作劇も演出も編集も全部ガバガバで、テキトーに作ったとしか思えない仕上がりのクオリティ。あの『モービウス』の方が少しマシなレベル。

まず2003年の舞台設定が全然感じられない美術や衣装からダメ。
ロケーションもダメ。ほとんど車に乗ってるか、あるいは同じ場所ばっかり繰り返し訪れる。車のカメラワークはずっと同じだし工夫もない。

予知能力ものって普通に本来もっと映画的に面白く見せられる題材のはずなんだけど。細かな予知と対処の気持ち良さの手数を多くするとか、ドデカい危機を一発予知してどう対処するかとか。そういう予知能力の設定の面白さをフルに引き出そうという気概が全く感じられない。そりゃずっと繰り返し似たシーンを見せられたら鑑賞体験としてはしんどいけど、にしても最後はとうとう未来の情報も画も何もなく口で淡々と指示してるだけになっちゃって、こうなるともうただの"今"だけだからね。流石に見せ方の工夫もっと頑張ってよ。

あと信じられないくらい展開や繋ぎが変。4人が最初に出会う重要な電車のシーンなのに、そこへ何の脈絡も説明もなく唐突に駅に向かって電車に乗る。直前に鳩を生かして何かにピンときた演出の後に、その必然性も何もない次のシーンへの繋ぎ。
「まるで蜘蛛みたいな」とか酷すぎる誘導セリフでピンと来てからの、森に保護対象を放置してノコノコ家に一旦帰って確認する流れとかも絶対無いだろ。頭に残っててそれを思い出すとかにしとけ。
そしてこんな事件の渦中で単身ペルーに飛ぶのは流石に無さすぎるし、ペルーに行った結果得られることもフワッとしすぎ。

まだ敵が何者か全くわからない状態で、タクシーの窓からケータイ?を捨てるのとか、街中のカメラを警戒するのとかも、そういう敵のサーチ手法をまだ知らないのに、その行動変では?と思ったけどどうなんだろう。

家で壁を登れるか試すとこ、これは酷かった。スパイダーマン的な能力を予感させつつも「やっぱりなかったです」な半コメディとして見せてるのかもだけど、サムすぎる。あんな適当な部屋の隅の壁で変な画角で取ってつけたように。やるならちゃんとスパイダーマン映画と同等のフリの演出をしっかりやれ。

陣痛がきてもみんなで行く必要ないぞー。ベンに任せろ。ベンもわかるやろ。というかせっかくの若ベンおじさんもそんなにストーリーに活きてねぇ

結局、蜘蛛民族の文化も存在も何もかも設定のディテールが無さすぎてペラッペラ。突然出てきたなぜか私服着た民族のおっさんがメンター的になるのもう笑うわ。
母親を恨んでる感も匂わせが弱かったし、もっとちゃんと出しとけ。全然この瞬間に効いてないわ。

しかしエゼキエルは本当になんなん。こんな動機も目的も小ぢんまりして魅力無いヴィランは久々。
まず本気出せば地下鉄駅ですぐ殺せちゃうような見せ方をしちゃってる。なら警察の相手の前にまず4人を瞬殺するよね?
バックグラウンドも語らなさすぎ。蜘蛛をどう活用してどのくらい成功してる人なのか知らんから入り込めるわけない。
強さも能力もスーツも何もかも設定が伝わってこない。毒も最初しか活きないし、ただピョンピョン飛ぶコスプレしたちょっと怪力なやつやん。
奪ったパスワード程度で長期間最強のシステムを使い放題なのもありえん。すぐ対処されるでしょ。てかあの部下も誰なんだよ。あの部下が有能すぎだろ。

ラストが特に酷すぎるね。3人全員がわざとかのように順番に落ちそうになりに行くのとか滑稽で見てられない。
ヴィランの倒し方も酷すぎる。あんな横目でチラチラ確認しながらタイミング測ったら思惑バレバレだし、大したアイデアも演出もなく本当にヌルッと狙い通り下敷きになってそのまま終わり…
水に落ちた後、火花で目が見えなくなるのも原作キャラクター設定のために最後無理矢理急いで差し込んだ感が強い。あれで後遺症ああなるのもピンとこないし。
なんかキャシーが息を吹き返すところの3人のカット不自然すぎない?2人と1人で別撮りしてる?

【鑑賞回数】1
【鑑賞履歴】
・2024/2/27 🎞️TOHOシネマズ川崎
鰤鰭

鰤鰭