ヒラツカ

ゴジラxコング 新たなる帝国のヒラツカのレビュー・感想・評価

3.1
モンスターバースの最新作は、ゴジラとキングコングを完全にバディものにするというアイデア。あくまでも巨大生物たちが主人公で、レベッカ・ホールやブライアン・タイリー・ヘンリーなどの人間はそれを見守るリアクション役に徹しているので、まあつまり怪獣映画のあるべき姿だったような。僕は実は、類人猿のビジュアルがあんまり好きではなくて、CGで表情豊かに作られた猿たちの顔面に、「不気味の谷」に似たような感覚を覚える。なのでコングのシリーズもそうだし、今度新作が出る『猿の惑星』も、いまいち食指が動きにくい。一方でゴジラの、魚のような円錐型は気持ちよく、しかも古き良き気ぐるみゴジラたちよりも、現代US版がいちばん趣味にあっているみたいなことがある。でも、今回のコロッセオで丸くなって寝ちゃうあたりは、魚というよりは完全に猫だったな。
本作、世間では「バカ映画」としてポジティブな反応が多いように見受けられるけど、うーん、そこまで褒めていいんかな?ゴジラがプロレス技を出すというのは、前作ですでに披露されてびっくりしたような記憶があるし、科学無視でご都合主義の設定も、いまいち飛躍せずに二の足を踏んでいたような印象を受けた。総じて、どこか中途半端な二次創作のように見えてしまったんだよな。バカな共闘を大スケールでやっちゃうという意味では『R R R』に完敗していたし、そういや「バディもの」の文脈で言うと、本作上映前の予告編でウィル・スミスとマーティン・ローレンスの『バットボーイズ』の新作のトレーラーが流れ、そっちの方がずいぶんバカバカしかったなあ。