きゅうげん

ゴジラxコング 新たなる帝国のきゅうげんのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

自分とおなじ血脈をさがすコングは、地下空洞最深部でついに巨大猿の生き残りと邂逅する。しかしその赤猿軍団は地上支配をもくろむ拷問の館であった! 狂える狒々スカーキングと白い魔術師シーモとのタッグマッチに、同族の自由をめざす守護神コングと不倶戴天の破壊王ゴジラがともに闘魂を燃やす!!!
怪獣の中の怪獣、出てこいや!


シリーズお約束のコング・モーニング・ルーティンはもちろん、ゴジラがひと暴れして大咆哮!→タイトル『ゴジラxコング 新たなる帝国』(バァーン!!!!!)が、往年の平成ゴジラすぎて最高。素晴らしいオープニングでした。
ピラミッド・ブレーンバスター!とかコング・アームド!とか随所でも幼心くすぐる場面があり、もう感涙。
陰謀論者バーニーのオタク感とか獣医トラッパーのナイスガイ感とかも、爽快で痛快なモンスターバトルを彩るノリになっています。

それでいて、少数民族の生き残りとして苦悩するジアと故郷をもとめる天涯孤独のコングとのドラマがパラレルな対応関係にあり、意外とホロリとさせられます。
……が、それより本作の白眉は映像言語としての側面。
各場面の人間のコミュニケーションは口語と手話が並行して用いられていますし、(具体的な用語説明シーンでない限り)全体を通してサイレントでも内容が通じる作劇・演出になっています。
とくに怪獣オンリーの場面。前半戦でのコングとスーコの珍道中やクライマックスでの団体戦など、人間を超越した存在がヒューマニスティックなドラマを展開する新次元・新時代の映像作品を、いま私たちは目の当たりにしているのです。
ゴジラ映画論でしばしば俎上にのせられてきた、「この戦いを目撃する我々は人間的なものなのか、神的なもののか、それとも別の何かなのか」という"視点問題"に肉薄する建設的な姿勢をはからずも内在させています。
これは「怪獣プロレス」の言葉では片づけることのできない、映像技術と作品文化の加速的発展の極致の片鱗と言えるでしょう。スターウォーズにもMCUにも日本のアニメにもできなかった"何か"に一番乗りするのが、まさかゴジラとコングだとは思いませんでした。


てかねぇ、ノリノリのダン・スティーブンスがKISSを爆音で流す中コングがガントレットを装備するトランスフォーム・シーンで……もう500000000点!!!
それにさ、(どうやったのかは良く分かんないけど)大復活を果たしたモスラ!!!!!
ちょっとクールなモデル体型になって、キラびやかだけど飾らない感じが良い……。後翅から見え隠れする節足の丸みに作り手のこだわりを感じます。
次作のお話はゴジラ中心とのことで、そちらも既に期待大。AppleTVのテレビシリーズもやっぱり観なきゃなぁ……!