ぶみ

親のお金は誰のもの 法定相続人のぶみのレビュー・感想・評価

3.0
「相続」ー 命でつなぐ家族の物語

田中光敏監督、比嘉愛未、三浦翔平主演によるドラマ。
母親を亡くしたばかりの大亀家の前に、成年後見人として現れた弁護士と、時価6億円とされる伝説の真珠を巡る騒動を描く。
主人公となる大亀家の三女・遥海を比嘉、伊勢志摩で真珠の養殖業を営む父・仙太郎を三浦友和、亡くなった母・満代を石野真子、長女の珠子を松岡依都美、次女の浜子を山崎静代、仙太郎の財産管理人となる弁護士を三浦翔平が演じているほか、浅利陽介、小出伸也、田中要次等が登場。
物語は、満代が亡くなったことを発端に、仙太郎に成年後見人が選任されたことから、財産が思うようにならなくなった家族の騒動が描かれるのだが、一応、仕事柄、民法を少しかじったことがある私としては、成年後見制度に関してはまがいなりにもそれなりの知識がある状態での鑑賞となった次第。
そして、そのサブタイトルや、予告編から、成年後見制度や法定相続人に関して、弁護士を通じてわかりやすく解説してくれるお仕事ムービーや、はたまた相続財産を巡るコンゲーム的な展開かと思いきや、さにあらず。
前述のように、基本的な知識があった私としては、それ以上得られるものはなく、かと言って、サスペンス要素も強くなく、終始大亀家のドタバタコメディに徹してしまっていたのは、正直期待外れ。
そんな中でも、近年様々な役どころをこなし、円熟味が増している三浦友和の演技は確かなものであり、浅利のコメディリリーフ的なポジションも健在。
そして何よりカメオ出演的なデヴィ夫人がホンダ・NSXに乗って登場したのは、驚きの一言であったのに加え、遥海の高校時代の回想シーンで、比嘉のセーラー服姿は貴重なものであった反面、流石に無理が感じられたところ。
また、伊勢志摩を舞台にしているだけに、東京に住む遥海が実家に向かう際に乗る列車が近鉄が誇る観光特急「しまかぜ」のプレミアムシート車両であったり、はたまた英虞湾のリアス式海岸であったりと、ご当地ムービー的な側面があったのは悪くない。
私の両親は健在で、幸い健康なのだが、高齢であるため、いずれは相続の発生が想定されることから、私のみならず、多くの人がどこかで直面するであろう同問題と成年後見制度を大亀家を通じて触れることができるとともに、伊勢志摩の美しさや文化を堪能できる反面、コメディとしてもお仕事ムービーとしても、振り切れ具合が足りなかった一作。

今だけ、金だけ、自分だけ。
ぶみ

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