萩原くわがた

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビーの萩原くわがたのレビュー・感想・評価

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“殺し屋”という非日常的な存在を限りなく等身大(我々視聴者と同じ目線の高さ)の日常ライフへ落とし込み、ほのぼの×バイオレンスを奇跡的とも言えるレベルで両立させてしまった偉大なる前作。
本作そんな物語の続編でありつつ新たなアプローチを見せてくれたのが嬉しい。作品の角度を少し変えて、前作が好きな人の期待に応えつつも飽きさせない。

本作の要素として
前作で描かれた殺し屋社会描写はさらに深掘りされ、「非正規の殺し屋(つまりアルバイト)」という概念とその悲哀や意地が、新たなる2人の青年非正規殺し屋の”神村兄弟”を通して描かれる。この神村兄弟もまた非日常的業務に徹しながらも我々一般市民がシンパシーを感じる要素バリバリで、彼らが抱える日常や仕事への不満やふとしたタイミングの雑談内容の親近感がすごい。そんな2人に立ちはだかるのが自分たちより格上の殺し屋2人、まひろ&ちさと。
前作であれほどシンパシーを感じさせられた主人公の”まひろ”と”ちさと”を今作では神村兄弟を通して俯瞰し、「やっぱこいつらやべえ」と思わせられるのが面白い。恐ろしすぎる。マジで勝てる気がしない。
そしてそんな2人に食い下がる神村兄弟の泥臭い奮闘と成長もまた大変に楽しい。

世の中にゴロゴロと転がる”ムカつきあるある”の切れ味は本作でも光っており、コメディシーンの鮮やかさは前作同様安定感抜群。そして最も期待していた部分かもしれない、まひろとちさとの2人のどつきあい、ほのぼの、友情も前作以上に強く感じられて、延々と観ていたくなる良さ。やっぱりこの2人がわちゃわちゃやってるシーンが1番好き。かわいくて楽しい。そこのところ今作もバッチリぶち抜いて来てくれてめっちゃ良かったです!

ラストの格闘も半端ない格闘アクションが披露されてて大満足なんだけど、すごいのがフェイントが使われるたびに見てるこっちがドキッとしてしまう緊迫感。目まぐるしい拳と脚のやりとりなんだけどしっかりと一発一発の攻撃の重さに説得力があって故にフェイントがとっても恐ろしくみえる。アクションへのこだわりが為せる恐怖がここにある。

ラストのエンドロール後の最後の1秒までずっと楽しくて大満足の二作目が終わり、三作目に心が踊るばかりです。