爆裂BOX

オファリング -悪魔の生贄-の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

オファリング -悪魔の生贄-(2022年製作の映画)
3.5
ゲオ先行レンタルのオカルトホラーです。
不動産事業に失敗し、妊娠中の妻クレアと共に疎遠だった葬儀屋の父を訪ねるアート。その目的は孫を口実に父を説得して融資を受ける為に実家を担保に入れさせることであった。ある日、葬儀屋に奇妙な銘文が記されたナイフと不思議な色のペンダントを身に着けた自殺体が運ばれ、アートはペンダントをくすねようとして落として割ってしまう。その瞬間、封印されていた恐るべき悪魔が目を覚まし、クレアのお腹の子供を狙い始める…というストーリーになっています。
ユダヤ文化で展開する悪魔ホラーというのは妙に新鮮に感じます。「ポゼッション」もそうだったかな。
運び込まれた奇妙な自殺体が持っていたペンダントを壊してしまったことから封印されていた悪魔が主人公アートの妊娠中の妻を狙い始めますが、前半はゆったり目のテンポで進みながら、クローゼットから飛び出してくる老人などのジャンプスケアも用いながら描かれる恐怖演出が良かったですね。カメラを向けると洋服掛けに掛かってる服から手や足が出ていたり、シーツから足が見えていたり、葬儀で鏡の中の人達は動いてるのに振り返った人達は微動だにしていないなどの演出は派手さはないながら不気味で良かったです。
冒頭に登場する、悪魔を封じ込めて自殺した老人や、行方不明になっていて遺体で発見された少女が後に繋がっていく展開も好みでした。サラ可哀想すぎるでしょ…
主人公アートが全ての原因引き起こすトラブルメーカー過ぎる。疎遠になっていた父の元に戻ってきたのも、妻が妊娠して孫口実に融資を受ける為に実家を抵当に入れるよう父説得する為ですし、その事や2年前から仕事上手くいってないのを妻クレアにも黙ってますし、遺体からペンダント盗もうとして落として壊して悪魔復活させて皆に迷惑かけますし本当にバカ息子という感じ。そんな息子に怒りながらも抵当に入れる書類にサインする父ソウルにホロリときます。まあ、妻生き返らせるために大天使呼び出そうとして悪魔呼び出しちゃった冒頭の老人ヨシアがそもそもの元凶過ぎますが。妻クレアは常識人だし、やらかしまくったアートにも優しくて聖人すぎる。
後半になると悪魔も出し惜しみなく姿現して暴れてくれて盛り上がってきます。老人の妻に扮して訪れたり幻覚を見せて人間をだまして翻弄する狡猾さも良いですね。アートがソファからクレア抱き上げて外に逃げ出した、と思ったらまた玄関に戻っていてクレアもソファにいるというループを何度か繰り返す所面白かったです。
父の友人ヘニッシュが渋くてカッコよかったですね。最初はいきなり帰って来たアートの事疑ってキツク当たって、ソウルの死の際も責めていましたが、呪術に詳しい神父?からアートが犠牲になる方法しかないと言われた時には「他に方法があるはずだろ!?」と言ったり、幻覚に翻弄されるアートを励ましたりと何だかんだアートに優しい所良かったですね。
そんな専門家たちもアッサリ倒していく圧倒的な強さを見せる悪魔の強さと倒れたアートの前にあの人が現れた時は「キター!!」と思いましたが、それすらも…の所の絶望感良かったな。
ラスト夢オチと思わせて悪魔の狡猾さが発揮された絶望的な物で好みでした。
ゲオ先行レンタルの作品の中では当たりの部類に入る作品だと思います。