第二部の実際の移民者の経験の語りにとても大きな価値があるように思えました。インタビュアーにはインタビュアーの正義感もあるのでしょう、質問の多くは元の住民の土地を二束三文で奪ったものだと知ってたか、それをどう思うか、移民したことを今は後悔しているかという、特定の方向の気持ちを引き出そうとするものでした。しかし人間の人生や感情はそんなに単純なものではないのでしょう。インタビュアーの問題意識は確かに理解できますが(それは制作年代からしてもその追及こそが役割だったろうと思います)、その紋切り型の追及が小さく鬱陶しいものに思えるほど、大日向村の満州移民者の語りの合間から覗く世界は豊かで、そして壮絶なものでした。

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