煙

クイーン・オブ・ダイヤモンドの煙のレビュー・感想・評価

3.7
ロングショット。ティンカ・メンケスの白粉が濃い。タルコフスキーへのオマージュ?みたいな燃える木。暴力。男の暴力への嫌悪。車内で狙撃された車の現場検証シーンはなんかリアル。『イン・ザ・ムード』『イパネマの娘』。花嫁の目の周りに痣。盛り上がりに欠ける結婚式の花嫁(同一人物)は首と腕に痣。「あまり気に入らない」。五所純子氏の下記コメントが正鵠を射ていると思う。
「灼ける光。褪せる砂。観音開きでひらかれるギャンブルとウェディング。いかにも興奮/鎮静、成功/失敗、幸/不幸と結ばれそうなものたちが、徹底して結ばれない。まるで麻酔でも打たれたみたいに、単純労働のリズムで広がっていく、微温的な地獄。うっすら流れる「イパネマの娘」がボサノヴァは暗い音楽だということを、だらりと続く結婚式がハッピーエンドは死だということを、思い出させてくれた。ラストシーンの爽快さ、あの車は家畜から野生化した馬のマスタングだろうと見なしつつ、ヒッチハイクが女を楽園に導くことはあっただろうかと映画史ごと走り去る。干からびた西部劇。夢のように退屈なアメリカ。喉が乾いた。」
実際、モルモン教徒が開拓した街で、西部開拓史に刻まれる街なのだろう。
煙