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世界の終わりからのchinsukoのレビュー・感想・評価

世界の終わりから(2023年製作の映画)
4.2
紀里谷和明監督の最後にして最高の作品

本作は世界が終末を迎えるというSF設定を背景に、1人で生きる女子高生の主人公ハナが人類を救うキーマンとなり、使命に奔走する姿を描いています。

ハナが見る「夢」が未来の出来事に影響するという設定は不可思議な印象で、夢のシーンのファンタジー感と終末感があまりリンクせず戸惑いましたが、興味深くはありました。

中盤以降で「夢」と未来予知の関係性が分かってくると、今度はハナの存在意義にテーマが変わり更に興味深くなります。

あと後半のハナがSNSに晒されたり、暴徒化した人々に襲われる下りはちょっと胸糞悪かったですが、監督自身の経験の投影かもと思われます。

主人公ハナを演じた伊東蒼さんはその素朴さがとてもマッチしていて、とうとうと話す台詞が悩める主人公を表現していてとても良かったです。


鑑賞を通して感じたのは、人間社会・人々に対する絶望と同時に慈愛の思いを感じました。

ちょっと難しい部分もありますが、最後にしては中々の力作で、監督の思いの丈を全て込めたかの様な作品になっていました。
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