ヒラツカ

ナイアド ~その決意は海を越える~のヒラツカのレビュー・感想・評価

3.5
しわしわのアネット・ベニングとジョディ・フォスターが、フロリダ海峡を横断する外洋スイム達成の夢を追う話。彼女たちがオスカーにノミネートされたのでなんの気なしに観てみた。「アンビリーバボー」の再現VTRのような映画ではあったが、まあけっこう泣いた。僕にはこういうマッチョでアウトドア派の嗜好性がないから、彼女たちの異常なまでの熱情の動機はあんまり理解できないものの、遠泳を個人競技ではなくチームスポーツだと断言したことで、感動ポイントがわかりやすくなった。
監督は山岳ドキュメンタリーを複数作っているエリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィとジミー・チン。森達也の『福田村事件』のときに学んだけれど、ドキュメンタリー作家が劇作品を撮るというのは、まったくの異業種への挑戦ということではなさそう。本作でも、きちんと過去のシーンにフィルタをかけたり、空の星が降ってくるみたいな抽象表現をするなど、作り物ならではの効果をナチュラルに繰り出す。こういう実録モノでよくある慣習として、エンド・クレジットにほんとうの当時の映像を使うというのがあるが、本作ではクライマックスのあたりから徐々に実際の記録映像がはらみ出てきていたのが、あっさりルール違反をした感じがして面白かったな。
アネット・ベニングは、『アメリカン・ビューティー』以外に何出てたんだっけ?というくらいに僕の映画ジャンルに関わってこなかったが、そうか、『マーズ・アタック!』のスピリチュアル系の奥さんを演じてたのが彼女だったのか。中学生のときぶりに見直したら、ものすごいスターだらけで笑った。マイケル・J・フォックスやグレン・クローズの無駄遣いは覚えていたけれど、ジャック・ブラックとか、パム・グリアやルーカス・ハースも出てたんだっけね。犬人間同士のラブストーリーはピアーズ・ブロスナンとサラ・ジェシカ・パーカーだったか、すっかり忘れてた。これ以上違う映画の話はやめようか。
一方のジョディ・フォスターはお久しぶりだったが(最後に観たのが13年前の『おとなのけんか』だった)、腹筋バキバキでヘンな眼鏡かけたおばあちゃんになっても、あいかわらずキュートであった。