ふてい

マエストロ:その音楽と愛とのふていのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

 キャリー·マリガンの演技が素晴らしく、中盤以降、家族を放って外で良からぬ噂を立て続ける夫に対して抱く複雑な感情や間近に迫る死の恐怖に苦しむ姿の表現など、息を呑む瞬間が多々あった。バーンスタインを演じたブラッドリー·クーパーも良かったと思うが、キャリー·マリガンの印象が強い。
 バーンスタインは、楽しそうに指揮棒をふる姿や温厚な人柄が魅力的でありながら、愛する家族がいても若い男性の付き人との不倫がやめられないという問題がある。若い付き人に手を出すことは二人のパワーバランスに差があることで断れない状況にあったかもしれないなどの懸念があり、やはり問題だと思うが、だからといってバーンスタインは全部ダメなのかという思いにもなってしまう。妻が一度はバーンスタインに別れを告げたにもかかわらずよりを戻してしまうように、魅力がありながら間違いを侵してしまう複雑な人間に対してその人間と付き合っていく人間もまた同様に複雑であるということが良くわかる。人生は一筋縄ではいかないという当たり前のことを改めて感じた。
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