今春の非モテのバイブル
秒速5センチメートル(再公開中)
三体(ネトフリ配信スタート)
そしてパストライブス
パストライブス、素晴らしい。恋愛ものはたまに観るくらいだが、映画館に行ってよかった。
20代のパソコン越しで再会した時の純真な笑顔と、30代で実際に会った時の顔に張り付けた笑顔の対比。はなればなれに大人になってしまった気まずさが上手く表現されている。
考えればなぜ20代の2人は会いに行かず仕舞いだったのか。それはノラとヘソンがお互いの人生を尊重したから、という事も理由の一つにあるのだろう。アジア的、儒教的な、理性を伴った愛である。
後半、アメリカにて顔を合わせるノラとヘソン。2人の愛が情熱的であるならば、共に韓国へ帰る選択肢もあったかも知れない。欧米的価値観の中で生きてきたノラにとって、それは望んでいた結末だったのかも分からない。そうならなかったのは、ひとえにアーサーの誠実さ故だ。礼には礼を。この三角関係には常に理性が先行していた。
イニョンとは、どこか言い訳じみた言葉にも聞こえる。もしもを語り合う場面、向かい合う2人にイフを越える事はない。結局今世では運命じゃなかった人。初恋という夢の終わりは、ロマンティックな言葉の内に締められる。
