日高

顔のない天使の日高のレビュー・感想・評価

顔のない天使(1993年製作の映画)
5.0
すごくすごくよかった。「教える」という行為の、高揚するかんじとか嬉しくなる感じとかが、マクラウドの表情や行動を通してよく伝わってきた。よき生徒を前にすると、全力を尽くして教えてあげたくなるあの気持ち。
生徒側の気持ちも大変よく伝わってきた。先生に執着する気持ちや、キーッとなる気持ち。これもチャールズの表情や行動を通して伝わってきて、こっちまで悲しくなったりした。
母親や姉が持ち込むせいで、家庭内にいつも必要以上の性が溢れている感じ、影響をうけたチャールズが性に慣れてしまいながらも一方で性に目覚めていく感じ。そのアンバランスさもまたよかった。
たくさんの繊細な内容が、終わりに向かってきれいにまとまっていく。見事だった。

追記:教師の熱意を最も駆り立てるのは良き生徒であると思う。教師の教育に対する情熱を規定する要因は、教師の中にのみあって完結するものではない。生徒が教師によって動かされるのと同じくらい、教師は生徒によって動かされていると思う。想像されにくいけど、教育の実際にはそういった力動があると思う。教育の実際に現れるその力動が生き生きと描かれていて、見ている人がそれに暖かく触れられるところが、この作品のいちばん良いところだと思う。
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