はまち

書かれた顔 4Kレストア版のはまちのレビュー・感想・評価

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舞台に立つ玉三郎は幻のようで儚い。そんな彼を舞台袖から見つめている男もまた、彼自身である。同一人物でありながら、そこには華やかな衣装や化粧で身を纏うという差がある。ここに現実と夢や幻といった境界ができるのではないだろうか。
それは途中導入される寸劇にも共通している。玉三郎演じる芸者は舞台上ではなく、映画の中の人物として、幻のような印象を残す。そして、鏡に映る彼を通して、現実を見るのだ。ここにある種のドキュメンタリーという共犯性が誕生するのである。

男性の作家が女を“書く”ように、玉三郎も自己の要素を足しながら女形を“書く”。
絵や図を“描く”のではなく、文字や文章に“書かれた”像(幻)を表現する。
玉三郎以外にも、杉村春子、武原はん、大野一雄をはじめとする表現者が映し出される。みな、女を演じ、表現してきた人たちである。インタビューを通して表現することを言葉にするとともに、映像や踊りといった具現化、具象化される瞬間をこの映画は映している。

4月からのリハビリと思ってグダグダ書いてみたものの、どっちか一個にまとめるべきだったな…。
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