みかん

書かれた顔 4Kレストア版のみかんのレビュー・感想・評価

4.7
ダニエル・シュミット、モロッコを撮ろうが日本を撮ろうが、あの映像の温度感が一貫してるんだな。
実はモロッコ見たさに観に行った「ヘカテ」がしばらくトラウマだったのだが、ストーリーの後味の悪さと反比例するように映像のとろけるような甘ったるさが忘れられず、マジで変な尾の引き方してたんだよ。
そういう点では今回は、観たいものが観れたと言っていいかもしれない。夜に浮かぶ屋形船、というただでさえいかがわしい舞台装置を、どこまでもシュミットは曖昧な境界で撮っていた。そう、男と女の境界も、現実と虚構の境界も、演技と本心の境界も。そういう点では「女形」という題材の選び方と調理の仕方がとにかく秀逸だった、ということになる。なんとも「あやしい」映画だよ。
シュミットの画面の美しさは「綺麗なものを詰め込みました」ではなくて、撮り方の質感に見ている側が溶かされていく感覚。
エンドロールに蓮實重彦の名前あって若干ビビったけど分かりはあった
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